遺言公正証書の概略説明
遺言がない場合は★
法定相続人全員によって遺産分割協議書を作る等しなければ
遺産を扱えない状況となります。
遺言がない場合、遺産相続をするためには、
遺産分割協議書を作らねばならず、その前提として、まず
誰が相続人かを確定しなければなりません。
そのため、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を転籍元を遡って揃えたり、
相続関係説明図を作成する必要があったりします。
又、遺産分割協議書には全相続人の署名捺印が必要です(多数決では決まりません)ので
その他、遺産の調査の必要等も合わせると、
大変な手間と時間がかかることがあります。
ご自分で書かれた遺言は、紛失等の心配があるうえ
亡くなった後遅滞なくそれを家庭裁判所で検認して貰わなければなりません。
検認手続には、全相続人を呼び出すことが必要で、そのため、
上記同様転籍を遡って戸籍謄本を揃えなければならない等の
手間と時間がかかります。
遺言公正証書は、以上のデメリットがなく、公の機関である公証人が作る公文書ですから、
誰かが
遺言のあることを争ったり、
遺言の内容を争ったりする
ということも少なくなります。
公証人が作成した遺言公正証書は、ご本人が120歳になられるまで、
公証役場で厳重に保存いたします。紛失・改ざん等の心配はご無用です。
★また、遺言がないと、通常、法定相続が行われることになります。
その場合、たとえば、(仮に)
@ あなたの亡くなった長男に子供(あなたの孫)がないと、
これまで世話になった長男の嫁に財産を分けてやりたいのに、
あなたが亡くなったとき、その嫁には一切財産がいかず、
すべて次三男等他の子らに相続される。
A 生前、ご本人は、子供がいないので全財産を妻に継がせたいと考えていたのに、
ご本人の死後、妻は、ご本人の兄弟姉妹と遺産分けしなければならない。
といった事態となります。
遺言があれば、@、Aのような意に沿わない結果を避けることができます。
(但し、@で「全財産を嫁に」と遺言した場合、子らが遺留分を求めたときは、
子らの法定相続分の2分の1は遺留分として子らに戻ることになります。
Aの場合は、兄弟姉妹には遺留分がありませんので、その様なことは起こりません)
遺言公正証書を作るには
遺言されるご本人に役場においで頂いて(ご自宅に出張することも可能です)
ご準備した公正証書案を確認の上、
これにご本人の署名、実印による押印をして頂き
証人、公証人も署名押印して証書が完成します。
完成前にはご本人から、どのような遺言をなさるのか、必ず話して頂く必要があります。
(証人の役割は、
ご本人が仰る遺言内容と公正証書内容が同一であることを
見届けて頂くこと、ということになります)
必要書類
@ 遺言者の印鑑登録証明書(3か月以内のもの)等
A 遺産を相続する人との続柄が分かる戸籍謄本
(あるいは遺贈を受ける人の住民票)
B 遺産に不動産が含まれる場合は、各不動産の登記事項証明書
と
その不動産の評価額が分かる固定資産評価証明書又は納税通知書
C 銀行等に預貯金、あるいは、証券会社等に株・有価証券等
(これらを金融資産といいます)を保有する場合は、
各金融機関名・支店名
と
金融資産の総額
(「約○万円」という概算で結構です)
を記載したメモ
D 遺言内容(財産の分け方など)をメモした書面(口頭でも結構です)
財産をどなたにどのように相続させるかを決めておいて頂きます。
相続させるおつもりの方が先に亡くなった場合に備えて、
そのときは別のどなたに相続させるか決めておくこともできます(予備的遺言といいます)。
E 祭祀承継者(仏壇・仏具や墓を誰に継いでもらうか)をどうするか
(遺言に定めない場合は慣習に従うことになります)
F 遺言執行者(遺産について遺言どおりに名義変えをする等の手続をする人)
を誰にするかも、決めておくとよろしいと思います。
遺言執行者は、全相続人の代理人とされていますから、
銀行等が口座名義の変更等に際し要求してくる
「他の相続人の同意書」を集めるが必要なくなります。
(遺産を受けることになる人も執行者になることがてきます)
G 証人(推定相続人、受遺者、その配偶者・子供等以外)2名が必要ですので、
それぞれの住所、氏名、生年月日、職業をメモしてお出し頂きます。
(知人等にプライバシーを知られたくない、適当な証人候補者がいない、
という方は、役場にご相談ください)
H 財産分けについて、遺言者のお気持ちを(付言事項)として記載する
ことを希望する方は、その内容を記載した書面をお出し下さい。
上記★@の様な場合、遺言の中で、付言事項として
たとえば、「次三男にはそれぞれ生前贈与をしてあり、
他方、長男の嫁には大変世話になったので、遺言はそのお礼であるから、
子らは遺言を尊重してほしい」旨お書きになると、
子らは遺留分の要求を控えるかもしれません。
なお、借金債務を負って亡くなった方の場合
債権者は、その方の法定相続人に、法定相続分に応じて
支払いを求めてきますから、
仮に遺言で、法定相続人の一人に全部支払わせると定めても、
債権者にそう主張することはできません。
それで、法定相続人としては、
遺産の評価額や自分の相続分等と借金の額、自分の負担額等を引き比べて
相続、限定承認、相続放棄のいずれかを選択することになります。
お出し頂いた資料等をもとにお作りした案文を、予めご本人にご覧頂き、
必要な訂正等をして、内容を確定した上、
期日を決めて、役場においで頂きます。
役場では、証人の前でご本人から遺言内容を話して頂いた上
(公証人から内容をお話してご本人に確認することは致しません)、
公証人が公正証書(案)を読み上げ、
これがご本人の遺言内容と一致していることが確認できましたら、
証人と共に署名押印して頂き、公証人も署名して完成します。
遺言公正証書作成手数料
は、受け継ぐ財産の価額によって手数料が違ってきます。
○ たとえば、一人の人が全財産を相続する(又は遺贈を受ける)場合には、
その全財産が、次の表左側「目的の価額」のどこに当てはまるかによって、
右側の記載のように手数料が違ってきます。
| 目的の価額 | 手数料 |
|---|---|
| 100万円まで | 5,000円 |
| 200万円まで | 7,000円 |
| 500万円まで | 11,000円 |
| 1,000万円まで | 17,000円 |
| 3,000万円まで | 23,000円 |
| 5,000万円まで | 29,000円 |
| 1億円まで | 43,000円 |
以下超過額5,000万円までごとに
3億円まで 13,000円
10億円まで 11,000円
10億円を超えるもの8,000円
を加算した額
○ そして、何人かの人が相続人(又は受遺者)となって遺産を分けることとなる場合は、
そのお一人、お一人が受ける財産について上記の当てはめをし、
その各人に対応する手数料額の合計が、その遺言の基本手数料となります。
○ また、遺産の総額が1億円以下の場合には、
「遺言加算」といって、上記の基本手数料に11,000円が加算されます。
○ そのほか、たとえば、祭祀承継者を指定するというような、
独立した定めを置く場合には、その定め一つについて11,000円の手数料が生じます。
以前にした遺言を撤回するだけの遺言の手数料は、11,000円です。
○ 遺言者が病気で役場においでになれない場合は、出張しますが、
その場合は、手数料が5割増しとなり、その他日当1万円及び交通費が加算されます。